1. 機材の種類と役割


この章で分かること
  • 音が、どんな機材を通って届くか
  • 5つの機材が、それぞれ何をしているか
  • ケーブルを、端子の形で見分ける方法

PAは、マイクが拾った小さな音を整えて、大きな音でスピーカーから出す仕事です。この流れは、信号のリレーだと考えると分かりやすいです。

del mundoの機材5つ

音が通る順番に、5つの機材を紹介します。場面によっては、使わない機材もあります。

  • マイク
  • →
  • マルチ
  • →
  • ミキサー
  • →
  • アンプ
  • →
  • スピーカー

① マイク

  • 音を、電気信号に変える。
    • del mundoでは、基本的に7本使います。ケーブルはXLRです。
ステージ後ろのマイク
ステージの後ろに並んだマイク。

② マルチ

  • ステージ上のマイクケーブルを1本にまとめて、ミキサーまで運ぶ。
    • 配線がすっきりして、客席後方のミキサー席まで安全に届きます。
    • ミキサーをステージの近くに置けるなら、マルチは要りません。マイクを直接ミキサーにつなぎます。
    • 一般には「マルチボックス」と「マルチケーブル」は別物です。delの備品は一体型なので、まとめて「マルチ」と呼びます。
マルチ(製品写真)
マルチの製品写真。
注意マルチの挿入口は16穴ありますが、多くが故障しています。使える穴は第2章で確認してください。

③ ミキサー

  • 複数の信号を集めて、音量と音質を整える。
    • del mundoのミキサーは、Yamahaのデジタルミキサー「DM3S」です。
Yamaha DM3S
Yamaha DM3S(製品写真)。
おまけ:グラフィックEQについて
  • グラフィックEQとは、音を周波数の帯域ごとに分けて、帯域ごとに音量を上げ下げする機器(機能)のこと。
    • スライダーを並べた見た目で、会場やスピーカーの特性にあわせて、全体の音質を整えるのに使う。
  • アナログミキサーには、この機能がついていない。
    • そのため、使いたいときは、グラフィックEQを機材として外付けする必要がある。
  • デジタルミキサーは、この機能が中に入っている。
    • DM3Sにも入っているので、別にグラフィックEQを用意する必要はない。
グラフィックEQ
グラフィックEQ(外付け機材の例)。

④ アンプ

  • ミキサーから出た小さな信号を、スピーカーを鳴らせる大きさに増幅させる。
    • del mundoのアンプは、CP CPX4420(4チャンネル)です。
    • アンプが内蔵されているタイプのスピーカー(パワードスピーカー)もあります。その場合は、アンプを通す必要はありません。
    • del mundoのスピーカーは、部室で横置きしているスピーカー以外は、アンプ内蔵ではありません。必ず外付けでアンプを通す必要があります。
アンプ(CPX4420)
アンプ(CPX4420)の製品写真。右はラックケース。

⑤ スピーカー

  • 電気信号を、音に戻す。
    • 客席向けの「外音」と、演奏者が自分たちの音を聴く「中音(返し)」の2種類があります。
外音スピーカー
外音スピーカー。客席に向けて置く。
返しスピーカー
返しスピーカー。演奏者に向けて置く。

信号をつなぐ3つのケーブル

ここまでの機材は、ケーブルでつながります。ケーブルは、つなぐ機材で種類が変わるので、設営の前に、種類を見分けられるようにしておきます。端子の形で見分けるのが、一番確実です。

ここでは、よく使う3種類を紹介します。

  • XLR:マイクから、ミキサー、アンプまでの信号。
  • speakON(スピコン):アンプから、スピーカー。
  • フォン:パソコンや録音機など、外の機器。

XLR

XLRケーブル
XLRケーブル。両端がオスとメスの形になっている。
  • 見分け方:3本のピンがある。カチッとはまるロック付き。
  • 主な接続先:マイク ⇔ マルチ ⇔ ミキサー ⇔ アンプ。

speakON(スピコン)

speakONケーブル
speakON(スピコン)ケーブル。
  • 見分け方:青と黒の太い端子。回してロックする。
  • 主な接続先:アンプ ⇔ スピーカー、またはスピーカー ⇔ スピーカー。
    • スピーカーのためのケーブルです。

フォン

フォンのケーブル
フォンのケーブル。写真は、先端の黒い線が2本のTRS。
  • 見分け方:棒状の端子。黒い線が1本(TS)ならモノラル、2本(TRS)ならステレオまたはバランス接続。
  • 主な接続先:パソコン、ウォークマン、ヘッドホン、録音機(入場SEや曲間BGM用)。
  • 大きさで規格が分かれている。標準:6.3mm、ミニ:3.5mm。
    • このマニュアルで「標準フォン」と書いたら、標準(6.3mm)のフォンのことです。
おまけ:モノラルとステレオは、どう違う?
  • モノラル(Mono):情報は1つ。
    • どこで聴いても、どのスピーカーからも、同じ音が出ます。
  • ステレオ(Stereo):情報は2つ(左 Left / 右 Right)。
    • 左右で少し違う音を出せます。右のスピーカーだけから鳴れば、「右に誰かいる」と感じます。ステージの空間の広がりを表現できます。

del mundoの外音を、モノラルとステレオのどちらで出すかは、第2章で触れています。

おまけ:「シールド」とは?
  • シールドとは、ケーブルの中の信号線を、金属の網などで包んで、外からのノイズを防ぐ構造のこと。
    • シールドの付いたケーブルを、「シールドケーブル」と呼ぶ。
  • 端子の種類(XLR、フォン、スピコン)とは別の話で、ケーブルの中身の構造の名前。
    • XLRケーブルや、フォンのケーブルは、中身がシールド付きのものがほとんど。
    • スピコンのケーブルは、信号が大きいのでノイズに強く、シールドは付いていない。
  • 現場では、フォン端子のケーブル(楽器とアンプをつなぐものなど)のことを、単に「シールド」と呼ぶことも多い。

この章のあとは

ここまでで、機材の種類と役割が分かりました。次の章では、機材のつなぎ方を見ていきます。

最終更新:2026/10/21
提案・気づき・直したいところは、部Slackの「PAチャンネル」に投稿してください。