2. 機材の繋げ方
- 何と何をどう繋ぐか。
- アンプのモード設定。
- 設営・音作りの流れ。
ここからは、第一章で紹介した機材を実際の設営ではどのようにつなぐのか、その繋げ方を詳しく見ていきましょう。
本題に入る前に、大原則を伝えておきます。
これが、機材の繫げ方の大原則です。
- 機材の出口(OUTPUT)から出て、次の機材の入口(INPUT)に入ります。
- 迷ったら、「いま信号はどう進んでいる?」を考える。
では、機材の繋げ方について詳しく見ていきましょう。
全体の配線図
先に、全体の流れを見ておきます。図の見方は次のとおりです。
- 黒い線は、XLRケーブル。
- [マイク]→[マルチ]→[ミキサー]→[マルチ]→[アンプ]のあいだを繋ぐ。
- 青い線は、スピコン。
- [アンプ]→[スピーカー]、または、[スピーカー]→[スピーカー]をつなぎます。
- 太い灰色の線は、マルチケーブル本体。
- 緑の三角は、INPUT(信号が入る)。赤の三角は、OUTPUT(信号が出る)。

それでは、配線図を確認しながら、「信号の流れ」に沿って順番に見ていきます。
Step1:マイク → マルチ
最初に音が入るのはマイクです。マイクから信号のリレーが始まっていきます。

- マイク7本を、XLRケーブルでマルチの INPUT につなぐ。
- マイクは基本的に7本なので、ケーブルも7本必要です。



ワイヤレスマイクを使う場合
Step2:マルチ → ミキサー
- マルチが、信号を客席後ろのミキサー席まで運びます。
- ステージの近くにPA卓を置けないときでも、長いマルチケーブルがあれば、複数本をまとめて安全に送れます。

- マルチケーブルの枝分かれした先を、ミキサー背面のINPUT 1〜7に挿す。
- ミキサーはコンセントに繋いで電力を供給する必要がある。
- コンセントが遠い場合は延長コードを使う。

1〜12:XLR(3本穴)。
13〜16:XLRと標準フォン(太い穴)の両方がさせる口。
SEをかけるためにパソコンをつなぐときは、ここの標準フォンを使う。
Step3:ミキサー → マルチ
- ミキサーで整えた音を、マルチに戻します。
- 行きと同じく、帰りも太いケーブルのなかを通る。(別々の小さなケーブルをまとめた結果太くなっているだけではあるが。)

- ミキサー背面のOUTPUTと、マルチの戻りケーブルを繋ぐ。

OMNI OUT:XLRのオス(ピンが出ている口)。
- 今はモノラルで出している。
- ミキサーのOMNI OUT 7(L)だけを使い、外音スピーカー2台に同じ音を出す。
- ステレオ出しも何度かトライした。今後またステレオ出しするときのために、手順を残しておく。
ステレオで出す手順を見る
- マルチの戻りケーブルが3本必要。
- ミキサー:OMNI OUT 7(L)→A、8(R)→もう1本(仮にC)、OMNI OUT 1→B。
- アンプ:A→input 1、C→input 2、B→input 3・4。1-2 MODEはSTEREO。
- スピーカー:output 1→外音左、output 2→外音右。左右をつながず、それぞれにケーブルを引く。
- CH1とCH2のゲインノブはそろえる。
- 返し(OMNI OUT 1)はモノラルのままなため、パンは効かない。
Step4:マルチ → アンプ
- スピーカーに音を送る前に十分に信号を増幅させるため、アンプを通します。

- マルチのOUTPUTと、アンプ背面のINPUTをXLRケーブルで繋ぐ。
- アンプはコンセントに繋いで電力を供給する必要がある。
- コンセントが遠い場合は延長コードを使う。


Aはinput 1へ。Bは二股ケーブルで2本に分けて、input 3と input 4の両方へ。
どうして二股に分けるのか(くわしく)
- 返しスピーカーは4台あるが、1つの出力に4台はつなげない。
- スピーカーを並列につなぐほど、アンプから見た負荷が小さくなる。アンプの下限Ωを下回ると、過熱や、保護回路による音切れの原因になる。
- そこで、4台を2台ずつの2組に分けて、別々のルートで同じ信号を送る必要がある。
- 現在は、Bの信号を二股ケーブルで2本に分けて、input 3・4に同じ信号を入れている。
Step5:アンプ → 各スピーカー
- 増幅された信号を各スピーカーに届けます。こうしてやっと信号は音となって聞こえてきます。


- アンプとスピーカーは、スピコンでつなぐ。
- スピーカー背面にINとOUTがあります。1台目のOUTから2台目のINへつなぐと、2台が一組になります。



OUTPUT:speakON(スピコン)。数字はアンプのOUTPUT番号。
| アンプの出力 | → 1台目 | → 2台目 |
|---|---|---|
| output 1 | → 外音スピーカー右 | → 外音スピーカー左 |
| output 3 | → 返し① | → 返し④ |
| output 4 | → 返し② | → 返し③ |
- 返し①〜④は、客席から見て右から数えた番号。
- ただし実際には、外音/返しを混同せず、かつ2台一組で繋げているのであれば、どのような順番・組み合わせで繋いでも良い。
- 実際、スピーカーの位置に対してアンプをどの位置に置くのが良いかは会場によっても違う。なるべく配線がきれいになるように配置するのが安全面において重要。
アンプのモード設定
アンプ背面には、入力感度とチャンネルの使い方を決めるスイッチがあります。今の設定は次のとおりです。
| スイッチ | 今の設定 | 意味 |
|---|---|---|
| SENSITIVITY | 1.4V | 入力感度。1.4Vと0.775Vを切り替える。 |
| 1-2 MODE | STEREO | input 1の信号が、output 1に出る。 |
| 2-3 PARALLEL | OFF | 2chと3chを連動させない |
| 3-4 MODE | STEREO | input 3→output 3、input 4→output 4。それぞれ独立 |
つまみの位置が今の設定(色が付いた文字)。BRDGは取り消し線で、選ばない。
3つのモードの違い(くわしく)
| モード | 動き |
|---|---|
| STEREO(ステレオ) | 入力nを、出力nに出す。各chは独立。 |
| PARALLEL(パラレル) | 1つの入力を、隣り合う2chの両方に出す。 |
| BRDG(ブリッジ) | 2chを合体させて、大出力にする。 |
設営・音作りの流れ
さてここまで、機材の繫ぎ方について詳しく紹介してきました。
信号の流れに沿って紹介してきただけなので、実際には、順番など関係なくすべての機材を同時にセッティングしていきます。みんなで協力して素早く設営しましょう。
ライブを行うための準備はざっくりと以下の通りです。
- 部室から会場に機材を運び込む。
- 車を使って運搬することもある。
- 機材を配置して繋ぐ。
- PA以外の人もぜひ積極的に!
- 繋ぎ終わったら機材の電源をONに。
- 必ず、ミキサーをつけた後にアンプをつける。
- アンプのゲインでスピーカーの音量感を調整する。
- マイクで声を出しながら、アンプのゲインノブで音量を調整。
- 外音単体・中音単体・外中同時の音量感を見る。
- 音作り(会場特性の把握)
- 各周波数の音を出しながら、耳で聞いて、ボワる・ハウりそうなどの問題があればGEQで解決していく。
- 会場特性は天候などによって刻々と変わるため、リハで感じたことなど逐一共有していく。
- 電源を切るときは、入れたときと逆の順番で、先にアンプを切る。
- ミキサーやアンプの電源を入れ切りするときに、スピーカーから「ボンッ」という大きな音が出るのを防げる。
- 電源を入れる前に、アンプのゲインノブとミキサーのフェーダーを下げておく。
- いきなり大きな音が出るのを避けられる。
この章のあとは
ここまでで、PAとしての設営・音作りに参加できるようになりました。次の章では、PAの醍醐味「ミックス」ができるように、ミキサーの基本的な機能を紹介していきます。
最終更新:2026/10/21
提案・気づき・直したいところは、部Slackの「PAチャンネル」に投稿してください。